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最近、レンタルオフィスやコワーキングスペースが増えてきました。レンタルオフィスとは、複数の事業者で1つのオフィスをシェアする形態のサービスのことです。一定の大きさで区画されたオフィスとは異なり、個人事業主や従業員1~3人程度の会社が、気軽に借りることができる小規模オフィスといえます。レンタルオフィスでは、他の事業者と交流する機会を多く持つことができます。また、レンタルオフィスを利用することで、ビジネスを開始する際、事務所にかかるコストを抑えることができるなどのメリットもあります。しかしレンタルオフィスには、ビジネスを安全かつスムーズに進めるうえでの注意が必要な面もあります。ここでは、レンタルオフィスで事業を開始するときの注意点をまとめています。
まずは、レンタルオフィス等を本店として会社法人登記をした場合、銀行口座開設の際の審査がより厳しくなるということが挙げられます。その理由は、平成23年頃よりバーチャルオフィス等を利用した利殖勧誘事犯やヤミ金融事案への対策として、警察庁がバーチャルオフィス悪用対策等を内容とする法人名義口座開設時審査の厳格化を求めたことです。
次に、レンタルオフィスは一般的な賃貸オフィスと比較して圧倒的に費用が安いですが、すでに自宅を本店として登記して起業している場合は注意が必要です。レンタルオフィスとしてしまうと、本店と支店の両方に法人住民税の均等割が発生する可能性があります。法人住民税の均等割とは、別の都道府県や別の市区町村に本店と支店がある場合に、それぞれの市区町村に対して支払う必要のある法人の住民税です。法人住民税は、仮に赤字であっても発生します。ただし、同じ市区町村の中に本店と支店があれば、法人住民税が二重に発生することはありません。そのため、レンタルオフィスを支店とする場合、まずは同一市区町村の中でレンタルオフィスを探すことが、節税に繋がります。そのほか節税の方法として、本店として登記している自宅では、事業活動を行わないというものもあります。自宅で事業活動を行わないという旨の申告をしておくことで、レンタルオフィスが本店扱いとなります。こうすることで、レンタルオフィスのみに法人住民税が課されるため、節税になります。
それ以外の注意点としては、レンタルオフィス等ではその他の事業者もオフィスを共用するため、秘密漏洩のリスクが高いということです。特に顧客の秘密情報を取り扱う場合には、秘密保持契約・秘密保持条項を含む取引契約の有無に関わらず、秘密情報が漏洩した場合に責任を問われる可能性が高いので、注意が必要です。顧客との信用問題にも関わるため、レンタルオフィス等で事業を行う場合には特に徹底した秘密管理を実施することが大切です。
レンタルオフィスには利点もありますが、注意が必要な点もいくつかあるので、それぞれのニーズに合わせてよりご自分にあった利用の仕方をしていきましょう。